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3月の僕たち

第8章 雑談8

ハルちゃんは自分の軟弱さを上出君にフォローしてもらった事を少し恥じているような・・・いや照れているのかな?
そんな素振りだ。


「ダイはお誕生日対応で軽いのを持たせてあったんだから当然だ。ハルちゃんも泰弘も一人前頑張ったよ」


 圭一がハルちゃんと僕の頭をポンポンと撫ぜた。


「はい、はじめましょうか」


 ハルちゃんが笑顔で腕まくりをした。



 ダイとハルちゃんがチョコレートファウンテンの支度をし、上出君が朝から準備していたチョコレートソースを温め直し、圭一と僕はフォークや飲み物のカップや皿の準備をした。


卒業してまだ2週間しか経っていないというのに、なんだかとても懐かしい。

6年間ここで圭一の部活が終わるのを待っていたことを思い出し、僕は感慨深く化学室の実験台を撫ぜる。


 活動日以外も体育館が見える位置に座って、課題や予復習をして待っていた。

バドは風が入ると練習にならないといって窓を開けずに練習している事が多かった。

だから漏れ聞こえる掛け声やシューズのキュッキュッという音とシャトルのビシビシという音を聞きながら時間を過ごした事を思い出す。


「どうした?」

「ん、いや。卒業したんだなぁ・・・と」

「お前、いつもここに座ってたな。練習中、お前が襲われたりしていないか何度も窓の隙間からチェックしたなぁ」

「うん」



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