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3月の僕たち

第8章 雑談8

「圭、僕とハルちゃんに恥ずかしい思いさせたんだから、さっきのプレゼントが何か教えろよ」


 僕とハルちゃんの手を引いて上出君のいる台の近くへ陣取ると、上機嫌でダイを呼ぶ。


「ダイ、ちょっと」


ダイが寄ってくると、上出君も呼び寄せてからダイにチョイチョイと手帳を出すように合図した。


「ああっ!見る?」


 そう言って僕たちの前に開いた。


「「「ブッ!!」」」


 思わず全員が噴き出した。

巻頭一枚慶矩の変な寝顔。

恐らく高校1年のオリエンテーリングのものだろう。

次のページには中学入学式らしい・・・ブカブカの制服であどけなさの残る顔で大あくびしている写真、
次は部活で必死にシャトルに食らいついてネットに顔面押し付けた写真やら、
どのページも変顔満載の写真集だった。


「こんなどうやって直ぐ用意できたんだ?」

「慶矩がハルちゃんに執着してた頃、巴山が慶矩の牽制に準備してたんだけど、ダイに切り替えたじゃん。で、出番がなくなってたわけ。
まあ、面白いからって巴山が藤堂に頼んで綴り続けてたのを昨日電話して三枝ン家に届けてもらったんだ」


ページをパラパラめくりながらハルちゃんが呟いた。


「レアものですね」

「激レアだな」


上出君が肩を寄せる。


「大事にするね」


 ダイは本当に嬉しそうだ。

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