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濃密 恋絵巻

第2章 ~歪んだ想い~

 
 
 
数日が経ち、寝室では今だに寝込んでいる月蔭の姿があった。
 
額に汗を滲ませ、苦しそうに呼吸を乱している。 
 
 
「…う……」
 
 少し甘くみていたよう だ…
 朔の日が近いせいか… ?
 …なかなか…毒が中和 されない……
 
 
 …このままの状態で朔 の日を迎えたら……
 
 
 
 
 
 
「月蔭…入るね…」
 
 
 
心配そうに寝室に入るゆりなの姿があり、湯気の出たお椀を持ちながら月蔭の横に正座した。
 
 
 
「おかゆ作ったんだけど …食べられそう?」
 
「ああ……」
 
 
 
月蔭はゆっくりと身体を起こし、何かを訴えるように無言でゆりなを見つめた。
 
 
 
 えっ…?…もしかして 食べさせろってことか な…?
 
 家族にもしたことない のに…うー…緊張する っ…
 
 
 
「どうした…?」
 
「えっ?な、なんでもっ …
 おいしいかわからない けどっ…ど、どうぞっ …」
 
 
 
ゆりなは挙動不審になりながら、持っていたお椀を半ば無理やり手渡した。
お椀の中身は野草の入ったお粥で、見た目は七草粥に似ている。
 
月蔭は不服そうにしながらも、お椀に入っていたレンゲでお粥を口にした。
 
 
 
 

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