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濃密 恋絵巻

第2章 ~歪んだ想い~

 
 
 
静かに襖が開かれ、琴刃は礼儀正しくその場で軽くお辞儀をした。
 
 
 
「おはようございます、 月蔭様…
 こんなに早い時間から の無礼をお許し下さい 」
 
 
 
 あの時の女の人だっ… 月蔭とどういう関係な んだろう…?
 妖怪?には見えないけ ど…でもわたし殺され かけたんだよね…?
 
 
 
「ふっ…結界を破ってお いて今更そんな挨拶は いらない」
 
 
 
月蔭は鋭い目つきで睨みつけながら、腰にさしていた刀を抜いた。
 
だがその言葉を聞いた琴刃は、口元を袖で隠しながら笑みを浮かべた。
 
 
 
「ふふ…
 妖力が弱まった今の月 蔭様の結界はあってな いようなものですわ
 
 その女に仕掛けた毒は 月蔭様のために調合し た代物…
 良い具合に毒がまわっ ているみたいね」
 
 
 
 えっ…それってどうい う事っ…?
 
「月蔭…?」
 
 
「あら?その子は、何故 月陰様の具合が悪くな ったのか知らないよう ね
 毒を身体から抜くには 手段は一つ…」
 
 
 
そう意味深な口調で言いながら、ゆりなに嫌な笑みを向けた。
 
その事を聞いて、月蔭が傷口から毒を吸い出す姿が頭を過ぎった。
 
 
 
 わたしのせい…だった んだ…
 
 
 
「あなたが言いつけを守 っていれば、月蔭様は 毒に犯されずにすんだ ものを…
 
 私にとっては事が良い ように進んで感謝して るけど
 ふふ…」
 
「この程度の毒…朔の日 が終われば直ぐに解毒 される
 話しは終わりだ」
 
 
 
月蔭は額から汗を滲ませながら、人間離れした速さで刀を振りかざした。 
 
 
 
 
 

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