
濃密 恋絵巻
第2章 ~歪んだ想い~
早朝、布団の中で抱き合いながら眠っているゆりなと月蔭の姿があった。
毒に犯されているせい か…今まで以上に妖力 が落ちている……
屋敷の結界は保ててい るが、力のある妖怪に 襲われればひとたまり もない…
ふとゆりなの寝顔が目に入り、月蔭は愛おしいそうにそっと頭を撫でた。
「ん……月蔭…?」
「起こしてしまったか」
「…具合はどう?」
「ゆりなが看病してくれ たおかげで少し楽にな った…」
月蔭は徐に起き上がると、乱れた着物を整え始めた。
「…どこか出掛けるの? 」
「いや…
ゆりなも、あの女が襲 撃に来る前に身支度し た方がいい」
「えっ…あの女って…」
もしかして…わたしを 殺そうとしたあの女の 人?
不安の色を隠せないゆりなに、月蔭はその場に跪き真剣な眼差しで見つめた。
「絶対にお前を守る」
「あ…わたし…なにか役 にたてることがあった ら言って…」
「それじゃあ――」
美しい顔が更に近付けられたかと思うなり、優しく唇を塞がれた。
触れるだけのキスをした後、今度は耳元に唇を寄せた。
「事が済んだら…ゆりな を抱きたい…」
「えっ…!?」
その時、屋敷の結界が壊され月蔭は目つきを鋭くさせた。
「月蔭?」
「もう来たか…
ゆりな、俺の背に隠れ ろ」
「え…う、うんっ…」
危機迫る雰囲気に、ゆりなは慌てて月蔭の背後に身をひそめた。
