I Love You のおきて
第1章 出会い
手にしている杖で段差を確認しながら道を歩く。
すれ違う人達から、「瑠那ちゃんこんにちは」、「帰りにりんご持って行きなよ」、そう言われる。
お父さんが、お祖父ちゃんがやっていた小さな病院を継いでいるから自然と近所の人とかが私を覚えてくれているみたいだ。
…私は覚えることは出来ない。
だけど…。
「瑠那ちゃん」
優しくて低い声が私を呼んだ。
「…奏太さん!」
声がした方に体を向けると、温かい何かが私の手を包んだ。
…手、なのかな。
私は顔を見ることが出来ないから、自然と耳で人の声を覚えていた。
だから、ある程度の人の声は分かるし、誰?って困ったりはしない。
知らない人は別だけど。
「散歩?」
「いえ、おつかいです」
水野奏太さん。
近所に住む大学生だ。
奏太さんは、すごく頭が良いらしくて都内にあるT大に通ってるそうだ。
顔が分からなくても、声が優しいから、きっとすごく優しそうな顔をしているに違いない。
「そうなんだ。エライね」
「…なんか、子供扱いしてません?」
「え?してないよ?」
手から、奏太さんの手と思われる手が離れて、今度は頭に温かい感覚がした。
…撫でられてる。
「やっぱり!私のこと子供扱いしてる!」
ハハッと爽やかな笑い声がし、頭から手が離れた。
「…気を付けてね。怪我しないよーに」
「はぁ〜い……」
どうも皆、私のことを子供扱いしてるみたい。
私はもう17歳なのに。
最後にまたポンポンと頭を撫でられ、靴の音が遠ざかる音がしたから、奏太さんはきっともう行ったのだろう。
すれ違う人達から、「瑠那ちゃんこんにちは」、「帰りにりんご持って行きなよ」、そう言われる。
お父さんが、お祖父ちゃんがやっていた小さな病院を継いでいるから自然と近所の人とかが私を覚えてくれているみたいだ。
…私は覚えることは出来ない。
だけど…。
「瑠那ちゃん」
優しくて低い声が私を呼んだ。
「…奏太さん!」
声がした方に体を向けると、温かい何かが私の手を包んだ。
…手、なのかな。
私は顔を見ることが出来ないから、自然と耳で人の声を覚えていた。
だから、ある程度の人の声は分かるし、誰?って困ったりはしない。
知らない人は別だけど。
「散歩?」
「いえ、おつかいです」
水野奏太さん。
近所に住む大学生だ。
奏太さんは、すごく頭が良いらしくて都内にあるT大に通ってるそうだ。
顔が分からなくても、声が優しいから、きっとすごく優しそうな顔をしているに違いない。
「そうなんだ。エライね」
「…なんか、子供扱いしてません?」
「え?してないよ?」
手から、奏太さんの手と思われる手が離れて、今度は頭に温かい感覚がした。
…撫でられてる。
「やっぱり!私のこと子供扱いしてる!」
ハハッと爽やかな笑い声がし、頭から手が離れた。
「…気を付けてね。怪我しないよーに」
「はぁ〜い……」
どうも皆、私のことを子供扱いしてるみたい。
私はもう17歳なのに。
最後にまたポンポンと頭を撫でられ、靴の音が遠ざかる音がしたから、奏太さんはきっともう行ったのだろう。