
青い桜は何を願う
第4章 私達にリングはいらない
出逢って間もないさくらをこんなにも想ってくれる、無垢な魂を持った可憐な少女を、このはを、拒めない。
このはがカイルの生まれ変わりかどうかなど、どうでも良い。
まりあの言葉を借りるなら、今だけは、さくらのハートの磁石はこのはを欲しがっている。このはが運命の少女だと、信じたかった。
「このは先輩……」
さくらはこのはの手を握る。
涙で視界がぼやけて上手く微笑めなくても、このはを、まっすぐ見つめた。
「貴女に、逢いたかった」
このはが微笑んでくれた。
さくらの胸裏を、やはり懐かしい風が吹き抜けた。
第3章 私達にリングはいらない─完─
