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マシュマロボイス

第1章 花が舞う

「……」

寝られなくなった。
どうしても、目が冴えてしまう。

『今、誰のためでもなくて』

唄のワンフレーズが、
どんどん大きくなって溢れそうになる。

3時43分、俺はもう寝れないと思ったから外に出て春風を浴びた。
まだ、生暖かい風だけど。

「ふー……」

体の空気を抜くように、
息をゆっくりと吐いた。

……。
………。
……………………。

駄目だ。
何も考えられない。

俺、こんな人だっけ?

たかが声1つでこんなになる人だっけ?

「もー、いっか」

道路に車が通ってないのをいいことに
道路に大の字で寝転がった。

淡い青色の空が、目に優しい。
俺の心を落ち着かせてくれる。

「……」

もう一回、聴きたいな。

大野が、ファンになってるのは意外だけど。

俺は、一人でずっと考えていた。

淡い青色の空を見つめながら、
声とその声の持ち主を想像していた。

段々と空が朱色に染まり始める。

……もう、朝か。

フラッと立ち上がって、
大野の部屋に戻って眠りに落ちた。

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