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マシュマロボイス

第15章 通り雨が近づく

(相葉side)

今日は雨だった。
でも小雨だからビショビショになる心配はなさそう。

そんなことを考えていたら、
携帯が震えた。

画面には二宮君の文字。

どうしたのかな。
二宮君は朝が弱いらしくて、こんな早くから連絡がくるなんて。

「もしもし」
『櫻井が怖い』
「え?」

『朝から叩き起こされたー…』

ああ、だから早いのか。

「そうなんだ」
『眠い…』
「眠いの?」
『そう、眠いの』
「え、でも寝たら、駄目だよ」

二度寝なんてしたら、起きれない。

『だから、
眠気覚ましに相葉と電話してんだよ』

眠気覚ましの電話だったのね。
ちょっと残念だし、ちょっと嬉しい。

「二宮君とは別のクラスだもんなあ。
あんまり接点無いもんね…」
『そーなんだよねえ』

せっかく恋人になったんだもん。
一緒にいたいって思うよ。

けど、クラスがねえ。
隣だって言ってもさあ。

『二宮ー、ご飯だ──て、雅紀?』
『うん、眠気覚ましの電話』
『ちょっと変わって』
『嫌だよ』
『お願い、お願い!大切な話』
『…………………はい』

どうやら渋々、二宮君が翔ちゃんに
携帯を手渡したらしい。

『もしもし』
「あ、どうしたの?」
『今日、数学自習だってさ』
「ありがと、課題は?」

『んーとね、テキスト提出』

「オッケー」
『早く返してよっ!』
『駄目だって、飯!』
『兄貴面すんな、クソ!』

電話の向こうで喧嘩が始まった。

「ごめん、切るね」

終わりそうもないから、切った。

……にしても、仲いいなあ。
すっかり兄弟みたいで。

ボーッと携帯を眺める。

ん?
…翔ちゃんに嫉妬してる?

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