テキストサイズ

マシュマロボイス

第2章 風に包まれてた

「いつから聴いてたんだっ!」

目の前が歪んだ。
二宮君の顔を見るのがやっとで……

「いつから…俺の唄を聴いてた」

二宮君の顔は、怒りで満ち溢れていた。

なのに…………


「…なんで、泣いてるの?」


胸ぐらを掴んだままの、手にポタポタと涙が零れ落ちる。

「……うるさい」

ズズッと鼻を啜って俺を突き放した。
そして、そのまま背を向けた。

「なんで、怒ってるの?」

よろけたから、近くの柵に掴まって
姿勢を戻した。

「……怒ってない。いつから、聴いてたか聞いてるだけ──」

「聴いちゃ、マズかった?」

問うと今度は唸り声が聞こえはじめた。

「二宮君?」

名前を呼んでも、返事はない。
だから近づいて二宮君の正面に立った。

それでも、俯いたままだから
俺に見せている頭に手を置いて

優しく撫でた。

そしたら、余計に唸り声が大きくなっちゃって戸惑った。

「だ、大丈夫?どこか痛い?」

戸惑いながらも、頭を撫で続けた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ