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マシュマロボイス

第2章 風に包まれてた

走っても、走っても、走っても…

見つからない。

声すら聞こえなくなって…
どこに二宮君がいるのか分からない。

「二宮君…」

諦めて、歩いていた。
どこに向かって歩いてるのかも
全く分からない。


『あの日の僕らの声がする』


いた。
見つけたのは、遊具も何も無い公園。

見つけただけなのに、
目頭が熱を帯びているのがわかる。


『君も聞こえているだろう』


ただただ仁王立ちで、
二宮君を見つめて声を聴いた。


『まだ見ぬ世界へ』


唄が終わって、二宮君が満足気に
「ふぅ」と息を吐いた。

どうしても、堪らなくなって
二宮君に向けて拍手を送った。

そしたら、二宮君は驚いたような顔をして、俺と目を合わせた。


「二宮君、唄上手いね」


一定の距離を保ったまま伝えた。

「あ、いば……」

俺の名前を呟いたあと、直ぐに走ってきて俺の胸ぐらを掴んだ。

「え……」

俺が驚いた時には、もう遅くて……



パンッ!



乾いた音が自棄に空へ響いた。

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