
すき ずっと
第1章 あなたと、出会った
高校の体育館。
残暑厳しい、秋だった。
高校1年生だったわたし、佐東 あかね は、高校で初めての文化祭に人並みに興奮し、楽しみ、充実感を味わった。
風が吹き出した夕方。
崩されていく入場門や、片付けに追われる先生や生徒。
わたしもその中の1人だった。
みんなが、気持ちのいい疲れを感じながら片付けをしていたときに、一際元気な声が聞こえた。
まだ興奮が冷めていないのか、それとも普段からそうなのか、彼は疲れた様子も見せずはしゃいでいた。
ネクタイ‥、黄色‥。
その彼は、どうやらわたしよりもひとつ歳上で、高校2年生のようだった。
「愁ーっ、お前真面目にやれっての!」
「え、やってるんですけど!!」
愁、と呼ばれた彼に、わたしの視線は釘付けになった。
特別、かっこいいわけでもないし、背が高いわけでもない。
ただ、なぜかわからないけど、見ていたい、と思った。
「あかねー、それこっち運んでー」
友達の声に、はっ、と振り向く。
慌てて、手にしていた看板を落としそうになった。
「わっ‥、と‥」
どうにか持ち直して、ぎゅ、と手に力を入れ、指定の場所にそれを運びに行った。
その場所は体育館の中の倉庫で、行事のいろいろなものがしまわれているようだった。
中にいる先生に看板を渡し、広い体育館をふと見回したとき。
ーー♪♪ー‥ー♪‥
誰かの鼻歌が聞こえた。
それはわたしの大好きなアーティストの曲で、でも、あまりメジャーな人じゃないから今までこの曲を知ってる人に出会ったことがなかった。
きょろきょろとその音のする方を探すと、近くで声がした。
「この曲、知ってる?」
「‥っはい!」
それが、先輩でした。
わたしとあなたが出会った瞬間でした。
わたしが、あなたに恋をした瞬間でした。
残暑厳しい、秋だった。
高校1年生だったわたし、佐東 あかね は、高校で初めての文化祭に人並みに興奮し、楽しみ、充実感を味わった。
風が吹き出した夕方。
崩されていく入場門や、片付けに追われる先生や生徒。
わたしもその中の1人だった。
みんなが、気持ちのいい疲れを感じながら片付けをしていたときに、一際元気な声が聞こえた。
まだ興奮が冷めていないのか、それとも普段からそうなのか、彼は疲れた様子も見せずはしゃいでいた。
ネクタイ‥、黄色‥。
その彼は、どうやらわたしよりもひとつ歳上で、高校2年生のようだった。
「愁ーっ、お前真面目にやれっての!」
「え、やってるんですけど!!」
愁、と呼ばれた彼に、わたしの視線は釘付けになった。
特別、かっこいいわけでもないし、背が高いわけでもない。
ただ、なぜかわからないけど、見ていたい、と思った。
「あかねー、それこっち運んでー」
友達の声に、はっ、と振り向く。
慌てて、手にしていた看板を落としそうになった。
「わっ‥、と‥」
どうにか持ち直して、ぎゅ、と手に力を入れ、指定の場所にそれを運びに行った。
その場所は体育館の中の倉庫で、行事のいろいろなものがしまわれているようだった。
中にいる先生に看板を渡し、広い体育館をふと見回したとき。
ーー♪♪ー‥ー♪‥
誰かの鼻歌が聞こえた。
それはわたしの大好きなアーティストの曲で、でも、あまりメジャーな人じゃないから今までこの曲を知ってる人に出会ったことがなかった。
きょろきょろとその音のする方を探すと、近くで声がした。
「この曲、知ってる?」
「‥っはい!」
それが、先輩でした。
わたしとあなたが出会った瞬間でした。
わたしが、あなたに恋をした瞬間でした。
