君のそばに
第7章 不器用な愛
君になら殴られても、痛くないよ。
だって、それが愛情表現なんでしょ?
痛みによって分かる愛って、なんか素敵。
フジ「 ...ッ、い、痛いよキヨ.. 」
俺は今、頬を何度か殴られている。
これが、愛情表現。
キヨ 「 ごめん、でも抑えきれない 」
キヨは何とも言えない、複雑な笑みを浮かべて再び俺を殴る。
正直、もうなれちゃったからあまり痛いとは感じない。
キヨ 「 なんかさぁ、嫌なんだよね他の人と一緒にいられると 」
キヨは殴るのをやめて、床に倒れ込む俺を見下ろしている。
キヨ 「 俺だってお前を傷付けたい訳じゃない...と、思うけどお前の顔見るとイライラするんだよね、でも嫌いじゃない 」
フジ「 はは...、俺そんなにイライラさせちゃうのかな..ごめんね 」
俺はズキズキと痛む頬を手で押さえながらキヨをみあげる。
キヨ 「 ...ッ、すぐ謝ればいいってもんじゃないだろ?お前なんも悪くないのに、ただ謝っとけばいっか、みたいなの分かってんだよ 」
俺が言ったことが尺に触ったのか、眉を顰めて睨んでくる。
キヨ 「 お前のそーゆーとこ嫌い 」
フジ「 ...ッ、なんで.. 」
俺は頬を殴られた痛みよりもその言葉がズキンと刺さった。