君のそばに
第10章 なんでもしてあげる。
フジ「 遅かったね、早く帰るって言ったよね? 」
キヨ 「 んー、と...いや、飲み行こうって誘われたから 」
キョロキョロと目が動く。
嘘をついてる証拠だ。
どうせ、誰かと一発ヤってきたんでしょ。
もう、分かってる。
聞かなくたって分かってる。
本当、最低。
キヨ 「 ほら、俺さ最近仕事増えちゃったから色んな人と交流してるし...、社交辞令でもそこは大切じゃん? 」
フジ「 そうだね 」
嘘つき。
嘘つき嘘つき嘘つき。
フジ「 恋人より仕事友達が優先? 」
俺はどんな顔して、こんなセリフを言ったんだろう。
目の前の彼の顔が一気に硬直する。
キヨ 「 お、お前...泣くなよ 」
フジ「 別に泣いてなんか... 」
あ、やばい。
涙が止まらない。
キヨ 「 ごめん、フジ、本当ごめん 」
ぎゅっ、と俺を抱き寄せる彼。
そんなテンプレなセリフ聞き飽きたよ。
何回目?そのセリフ。
キヨ 「 お前の方がたいせ... 」
フジ「 ねぇ、キヨ 」
キヨの言葉を遮る様に、俺は言葉を発した。