君のそばに
第2章 お前の体温
俺はとっさに身を引いて、顔を見られないように漫画を読みはじめる。
もちろん、内容なんて全然入ってこない。
こんな顔をアイツにみせたら、絶対心配される、そんなの俺じゃない。
キヨ 「 急用あったし、帰れよ 」
咄嗟に、嘘をついた。
コイツにつく嘘は二つ目だ。
フジ「 ...じゃあね! 」
じゃあね?じゃあねしか言わねぇの?
俺と居るのはいや?
別に、ここに残るって断言して欲しいわけじゃない。
それとも俺の頭が混乱してアイツの言葉聞き取れてなかったのか?
待て...行くな!
キヨ 「 ...待て! 」
や...べぇ、腕掴んじまった。
フジ「 急用あるんでしょ?俺は大丈夫だからさ!」
違う。
俺が大丈夫じゃない。
フジはそそくさと立ち去っていった。
俺は部屋にぽつんと一人たたづんでいた。
もう、こんなの嫌だ...。
そう呟いた言葉が部屋にこだました。
終わり