
センシティブ♥ボーイ
第33章 共通の趣味
「あーどれも似合うな~これも特別感があっていいし……そうだな、これはさゆりちゃんのプライベートみたいな感じで…」
僕は崇史だけど、杉田君にはさゆりちゃんとして映っているんだろうか。
僕が見る限り、さゆりちゃんに僕はまるで似ていない。
だから、杉田君の目を心配しているところだ。
そんな僕に気が付くことなく、杉田君は全身をじろじろと見ながら購入する商品を吟味している。
―――これ買ってどうするんだろ…
フリフリのスカートは足がスース―して変な感じがした。
杉田君はそんなところに興奮を覚えるようで、このスカートがたまらないと、呟いていた。
「じゃあ、これとこれとこれ!プレゼントするから!!」
「え……?えー……あはは…」
……………いらない―――…。
すごく。
いらないよ。
その言葉はついに言い出すことができなかった。
「たまにお願いした時にこれ着た写真送ってくれればいいから。僕はね、君にこの洋服を早く着てほしかったんだ。いや、洋服たちだって君に着てほしかったに決まっている。だから君にプレゼントしたかったんだ。日常で来てもいいと思うし、いつでも使える代物だから。
遠慮はいらないよ。僕が勝手にしたことなんだし。ね。」
「あ、ありがと、う…」
杉田くんは僕の携帯に自分のアドレスを入れると、じゃあ、といって帰って行ってしまった。
「全然……遠慮してないんだけど……な…ぁ」
僕の声は、杉田君に届くことなく、賑わう街の中に吸い込まれていった。
