
センシティブ♥ボーイ
第36章 偏差値より人間力
「坂本先生、こんにちは…っ」
「こんにちは。崇史くん。ゆっくりしていってね。」
「ほら、いくぞ」
なんで自分の家みたいに言ってんだよ。
丁寧にお辞儀をする佐藤の腕を引っ張って自分の部屋につれていく。
少し後ろを窺うと、佐藤はそれだけで頬を赤く染めていた。
そんな反応を見ただけで、さっきの模試の結果がどうでも良くなりそうだ。
でもどうでもよくない。
ため息を着きながら、扉を開けて佐藤を座らせる。
もじもじとしながら、頬を赤らめて何だか居心地の悪そうにする佐藤。
何だかいつもと違うような気がするのは、気のせいだろうか。
じっと見つめると、佐藤は俺からさっと目をそらし、ぎゅっと自分の手を握ってより頬を赤らめた。
「どうした?」
「な、なんでも…ないよ…?」
ふむ。
これは何で何でもある顔だ。
調子が悪そうな訳でもないし、
落ち込んでいるような感じでもないからそこはひと安心なんだけど。
まぁ直に分かるだろうと思い、気がつかない不利をして話を進めた。
