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経済財政愚問放談 その1

第9章 道州制の問題点

「道州制」・・・今の所具体的には、どの様な区分けに成るのかわかりませんが、一般的に考えられている、北海道・東北州・関東州・中部州・関西州・中国四国州・九州・沖縄で考えてみましょう

まず、道州制は小さな政府論から来ている考え方で、基本的に税源は殆ど各自治州に移管して必要最低限の税金を国に上納し、国家として必要な官庁や自衛隊等の国営サービスを維持するのみにする考え方です

要するに、今までは国が税金を一旦集めて、各都道府県に再配分しておりましたが、其々の自治体で基本的に収税し、自治体内で再配分する事に成ります

国家運営に必要な費用は、各自治体の収税率に乗っ取って集金される訳です

それで、何が問題なのかと申しますと、一番には現段階で道州制を施行した場合、関東や関西や中部は兎も角、他の自治州が自立出来ない可能性が高い事です

北海道や沖縄は今でも補助金無しでは覚束無い状況ですし、東北州の場合、宮城県や岩手県の工業地帯のみで東北を支えられる訳が有りません

関東は東京が有りますし、関西は大阪が有りますし、中部は愛知が有ります

これ等の収税率の高い地域を抱える州は安泰ですが、他の州は恐らく、地方交付税を打ち切られたら立ち行かなく成るでしょう

競争原理を過剰に押し出し、各地域の実情や地政学的条件を無視して、地域振興出来ない自治体が悪い、自己責任で何とかしろでは国家が保てません

そもそも、地域振興の為に企業を誘致したり観光客を呼び込む為のインフラ整備をするお金が無いのにどうしろと言うのでしょうか?

地方債を発行すれば良いのでしょうが、通貨発行権や中央銀行を持たない自治体が、野放図に債券を発行すれば、間違いなくデフォルトします

つまり、そもそもそんな無茶な経済政策は、自治体には出来ないのです

つまり下手をすると、何の手立ても打てないまま、ひたすら疲弊して行く可能性が否定出来ないのです

そうなると、只でさえ一極集中が問題視されているのに、東京や各地域の都会地域に更に人口が集中し、田舎から人口が流出します

すると、いざ東日本大震災クラスの地震が都会地域で起きたときに、田舎の人達は経済的には助けようが無くなるのです

経済的基盤が無いのですから

過度な競争原理を廃し、税の再配分による均衡有る地域発展は、日本には不可欠な制度だと個人的には思います

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