
山岸君と照井君
第10章 意識して―――……。
「―――…あれ…山岸、一人?米屋は?」
恋敵の所在を確かめねば!!
アイツは…未知の存在だ!!警戒しなくては――――…
『麟太郎さん―――…?あの後、会社から呼び出しがあって……帰ったよ?お陰で今日の課題が沢山だ……
まっ、僕にかかれば!あっという間に片付けれるが!!』
よかった〜…一緒じゃね〜んだな!!
「なら、家の人とか帰ってきたか?
あの豪華だ、部屋数とか多そうだなぁ〜」
『いや―――――…家族は誰も帰ってきてない…』
「そ〜なのか?じゃぁ…お手伝いの梅さんとか…って…いないっけ?」
『梅さんは、帰ったよ?彼女にだって家庭は有るからな!夜は、いつも僕一人だ』
え―――――――――…
え?
あの…豪邸に―――――…
山岸…一人…なのか?
「お前―――――…今、あの家に…一人なのか?」
『ああ、ここ何年と―――…一人だ――――…
皆忙しいから……家族が揃うことは…無いな…』
「―――――…寂しく…ないか?」
『――――寂しいって思った事は無い……
一人でいるのが当たり前だから……
でも―――――…
今日は…何か変で―――…
誰かと話をしたくなってきて…
お礼がてら……電話を――…』
山岸の声が…尻窄みになる…
