
山岸君と照井君
第16章 自覚―――……。
「さてと!我々は、学校に行きますか!!」
お姉様の声に、慌てて時計を見る!!
「だな、早めに出て損は無いからな!!
気をつけて行ってらっしゃい」
優雅にお茶を飲んでいたお父様が、僕たちを送り出してくれた…
お母様も、またね!っと…玄関先で手を振る――――…
「はい、行ってきます!!」
“行ってらっしゃい”
“行ってきます”
…この挨拶も―――――…
僕には新鮮で……
嬉しい…
ここの家は…
会話がある―――――…
僕の住む…あの家には…
こだますら…
住んでいない―――――…
「挨拶って……
するのも…されるのも…良いもんだな…
宏樹…素敵な家族だな―――…」
僕は、エレベーターを待ちながら…しみじみしてしまった…
「―――…あぁ…
苑心も…いつか……家族になれたらいいな」
「はぁ!?
家族に?なれないだろ?何を言ってるんだ?」
「――――…ですよね〜」
