
山岸君と照井君
第23章 癖になる―――……
ふわふわした意識の中で――――…
僕は、夢を見た…
暗い部屋…
誰もいいない…家…
冷たい……壁…
僕は、ひたすら勉強をしている…
父も母も…
優秀な兄達を自慢していた…
特に…成績は、父の態度が分かりやすかったから…
僕は、必死に勉強した――――…
勉強して…一位を取れば…
僕は、認められる…
勉強して…勉強して…
勉強し続ける…
夢の中の僕は…
机に向かい…まばたきもせず…
勉強をする…
勉強をすると…
鉛筆が…どんどんすり減り…
短くなる―――――――…
なのに…僕は、ひたすら鉛筆を削り…勉強をする…
そのうち…鉛筆の長さが…削れないくらい小さくなるが…
僕は、ノートを埋めていく―――――――…
気がつくと…指先を削り…
ノートを埋めている…
赤黒いインクで……
僕のノートは…汚れていく…
そのうち…
どんどん僕が削られ…
小さくなる―――――……
そして…とうとう僕は…
ノートの文字になり…
小さく削れて…消えた――…
なのに……
父も…母も…兄達も…
僕だと気がつかず…
そのノートを……
捨ててしまう―――――…
「――――――…いやだ…捨てないで―――――…
僕は―――……ここだよ…」
