テキストサイズ

山岸君と照井君

第28章 無言の別れ―――…


―――…コンコン…



不安が俺を闇に落とそうと…足を引っ張り始めたその瞬間…




病室のドアをノックする音がした――――――…




苑心か――――――!?



心がグラリと揺れた――…



「―――…起きてるかい?」




しかし…


心は…入室した人物の声で揺れを止めた――――…





「―――…岳心さん…」



岳心さんは、「体調はどうだい?」と…医師らしい事を聞いてきた―――――…



そんなセリフ俺的には…


要らない――――――…




「―――…苑心は…」



それだけが…

聞きたい事だから――――…




「―――…苑心?あぁ…

お陰さまで…生きてるし、意識もある――――――…今の、君よりは外傷はないよ。

むしろ、君の方が重症だよ」




岳心さんは、点滴を確認して…


ベッド脇の椅子に座った――…




「まずは、礼を言わせてくれ――――――…

弟を…助けてくれてありがとう」






岳心さんは、俺に深々と頭を下げた――――――――…




ストーリーメニュー

TOPTOPへ