
山岸君と照井君
第31章 愚か者―――……
なのに……
すっぽり収まる…この感覚は……
不思議と安心してしまう…
腕に収まる…成人男性って…
いるもんなんだな……
俺は、腕の中で寝息をたてている岳心さんを落とさぬよう…
大事に運ぶ―――――――…
寝室のベッドに岳心さんを寝かせ…
羽毛布団をかけてやる―――…
無防備に…寝ている顔を見つめ…
俺は、ため息をつく―――…
俺は、これから……
こんな性格の悪い人に使われるのか……
苑君への――――…償いと思えば…
辛くもないが―――――…
出来れば…
苑君を見なくていい…世界で…
罰を受けたかった―――…
そんな都合のいい…罰はないか…
俺は、岳心さんの中にある…苑君の面影を探す…
似ている…から…
ここまで…着いてきたのかもしれない――――――…
苑君…
ごめん――――――――…
あんな事をしたのに…
まだ…君を好きな…私は……
どうしたら…いいんですか?
苑君……
俺は、岳心さんの顔を見ながら……
流れる涙を手で覆い隠し…
床に丸くなる―――――…
そして…
そのまま…
懺悔の夜を―――――――…
過ごすんだ―――――…
