
山岸君と照井君
第32章 好敵手―――……
「今の医院長は…私の娘婿でな…
山岸総合病院の医院長として…理想を追い続けた結果…あんな堅物に…
上の子はそんな父をみて育ったから……そっくりになってしまって…
君に…酷いことを言った上に……
苑心を留学…させるとは…」
おじいちゃんは、深いため息をすると…ソファに座った――――――…
「苑心は…上の二人と…年が離れて生まれた子だ…
私も年を取り…医院長を退いていたから…苑心とよく遊んだよ…
年を取ってからの孫は…ホントに可愛くてな…
何でもしてやりたかった…
だから…今回の“絶縁”状態の留学に……抗議の意味を込めての辞任じゃ!!」
おじいちゃんは、ハハハっと笑って俺を見た…
「苑心は…今まで…孤独と言うものも解らず育った…
だが…君と出会って…
一人の寂しさを知ってしまったにちがいない……」
「―――――…はい…スミマセン」
俺は、肩を落とす―――…
「こらこら…謝るな…
君は…苑心に“愛”とやらを教えたんだろ?胸を張りなさい!!
私は、おじいちゃんとして…苑心を支えるから……」
「はい―――――…ありがとう…ございます……」
俺は、頭を下げ―――――…
おじいちゃんに…誓う…
「苑心が…いつでも戻ってきても良いように…
準備していますから……
苑心を…よろしくお願いいたします」
