
山岸君と照井君
第33章 手紙―――……
「――――…ただいま…」
いままで…こんな…落ち込んだ“ただいま”を…僕は言ったことがない…
僕は…玄関をなるべく見ないようにして―――――…
自室にかけ上がった…
自室に勢いよく入ると―――――…
目の前に…あの日の欠片が散らばっていて―――――…
僕は…過去の空気を吸うこととなる…
乱れた…ベッドを…軽く直した後…
勉強会をして…そのままのテーブル…
宏樹に出した模擬試験の…
回答用紙…
学校から…帰ってきて……そのままのカバン…
じゃれて……
キスして――――――…
将来を語り合った……
僕の…部屋…
生活の…臭いがした…
家なのに家の臭いがしないこの家で―――――…
唯一…生活の臭いがする場所…
今は―――――…こんなにも辛い…
切ない…
苦しい……臭い――――…
