
山岸君と照井君
第33章 手紙―――……
「――――…酷い言い方…
でも…今…雷心兄さんは幸せなの?
僕は、好きな人がいて…
その人も…僕を好きだと言ってくれた―――――…
それだけで…幸せだから…」
雷心兄さんは、眉を動かさないが…
眉間のシワは、そのままだった…
「――――ふっん、下らない」
雷心兄さんも…岳心兄さんも…
心から好きな人が出来たら…
幸せになるのに……
僕は、掲示板を見て…立ち上がった―――――――…
「雷心兄さん…
手紙を書きます――――…
宏樹に当てた手紙を…雷心兄さん宛に送ります…
雷心兄さん…
行ってきます―――――…」
僕は、カバンをしっかりと握り…
搭乗口に進んだ――――…
振り向かなかったから…
雷心兄さんがどんな顔をしているか…
僕には解らない…
でも―――――――…
それで…良かったと……
僕は、思うんだ――――…
