
山岸君と照井君
第33章 手紙―――……
彼女と別れて―――――…
俺は、一人…
静かな廊下に取り残される…
ふと――――…
弟…苑心の手紙を思い出す…
内容は…ロンドンの教育制度に驚く内容だったり…
お祖父様と…観光を楽しんだ感想だったり
あのクソガキは今は何をしてるのかな?とか…
そんな文面ばかり…
だが…最後には必ず―――…
“雷心兄さん、体調を崩してませんか?風邪は引いてませんか?
今、幸せですか?”
と―――――――…
毎回、俺に当て付けのような文で締めくくる―――…
最初は、その文に腹が立ち…
その日1日不快でしょうがなかった――――――…
縁切りをした俺を気遣う態度に腹が立ったのだ…
だが…
手紙を書く苑心にとっては…普通に…当たり前のように…
家族を心配している文章なのだ…
