
山岸君と照井君
第36章 〜最終章〜時計と朝日
宏樹…少し大きくなった…
大人に…なったのかな?
肩幅が…がっしりして…あの時よりも頼もしく感じる…
安心する……
この…香り―――――――…
あぁ…この香り…
大好きな…この香り……
僕の――――…
存在を…許してくれる…
この香り―――――――…
「宏樹の…香り…」
「…香り?あぁ…
俺も…苑心の香り…覚えてる…
頑固で…素直で……まっすぐで…理屈っぽくて……しゃべり方が時々イラッとする…
可愛い…苑心の香り…」
「――――…悪口じゃないか?」
宏樹は、僕の頭をなでながら静かに笑う―――――…
「悪口じゃね〜よ……
全部、俺が…苑心に興味を持った大事なお前のいいところ…」
「――…馬鹿…なのか君は…
それは…
いいところなんかじゃない…
でも――――――…嬉しく感じる僕も…
今は、馬鹿者だ――――…」
強く抱き締めると……
宏樹の腕も…僕を強く引き寄せる…
これ以上…強く抱き締められたら…
宏樹の中に……取り込まれてしまいそうだ…
