何度でも、君を。
第13章 男同士の戦い。
その場にしゃがみこんでしまった。
全身の力が抜けたようだ。
「…うっ…ヒック…。」
「…紗羅…。」
蒼がうちの目の前に来た。
早瀬はすでに屋上から去っている。
「…グスッ…ヒック…。」
「…泣くなよ…。」
そんなこと言われたって、涙は止まるわけもなくて……――。
「紗羅…いきなりキスしてすまなかった。」
「……グスッ…。」
蒼は…うちを抱き締めようと少し腕をあげた。
でも、その腕は…うちに触れることなく、蒼はうちが泣き止むまでずっとそばに居てくれた。
雪は、もうすでに止んでいる。
空からは光がさし、紗羅の涙を綺麗に照らすのだった。