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凍夜

第3章 花



ママはいつも、夕方家を出て行くことが多かったので、由美子は学校から、早く帰宅するようにしていた。


そうしないとママと行き違いになって淋しい思いをするから。


当然、友達なんて作っている時間はなかった。しょっちゅう学校をサボっているのも、ママとの時間の為、仕方のないことだと思っていた。


ママは母親らしくない服装と化粧をして、外出する。

市営住宅の階段に、ママの靴音が鳴り響き遠ざかる。


由美子は、ただ、淋しかった……。

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