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凍夜

第3章 花



~苗穂駅のホームを横殴りの風が吹き抜けてゆく。


丸められた煙草の空き箱が、私の足元に転がってきて、また何処かへと方向を変えた。

古びた階段に足をかけた時、マサシの手が伸びてきて、一瞬ひるむように止まった。


「ねぇ、ユキが5ヶ月だって知ってた?」

私は、マサシを振り返り、マサシの空を掴んだ手を見つめた。

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