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凍夜

第3章 花



私とマサシは改札をくぐると、ベンチに腰かけた。

駅の中は冷えきっていた。


マサシが、キオスクで缶ビールを買ってきてくれた。

「サッポロでよかったよね?」

マサシが、ビールを渡してくれた。

私は、頷いて、「ありがとう」と呟いた。

私たちは、詮を抜くと、直ぐに口にした。

お互い無言だった。

マサシの手がビールを渡そうと私の指に触れた時、一瞬、マサシの胸の底に沈んだ黒いユキの影を見た気がした。


サッポロビールのせいなのか、喉の奥が辛かった。

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