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ドSメガネ王子☆

第2章 入学式



ーーーー…





入学式がはじまってから20分くらいは経過している。

そろそろ新入生代表挨拶が始まる時間。




そもそも、新入生代表挨拶があるならふつう
おばあちゃんがいたからといって俺が連れていく。とは
ならなかったと思う。



ふつうの人の場合だけど。



タクシーを呼んで送ってもらえば間に合ったはずなのに…



(人思いの優しい人なんだなぁ。)


でも、わたしがおばあさんをおんぶできるくらいの
力があれば、彼が遅刻することはなかったよね…




申し訳ないことをしてしまった…。





わたしがそう思った直後、

『新入生代表挨拶。


ですが、代表の生徒が不在のため、次の在校生代表挨拶に移行します。』





ざわざわっと会場がざわめく。


「代表いないとか、初めてじゃない?
ちゃんと仕事しろよー一年生」


「初日早々遅刻とか代表だから調子乗ってんじゃね?」




主に2年生のほうからのブーイング。

やっぱり、間に合わなかった…





『みなさん!静粛に!』



教師が注意するも静かになる気配はない。




その時、


ギイィー…



と、



ドアの空く音とともに、




「すみません。遅刻しました。」




恐ろしくイケメンの王子がそこに立っていた。





「きゃあぁあぁあ!」

ブーイングは女子の黄色い声に変わり、

男子の妬みの対象へと変わった。





『えー…それでは、新入生代表挨拶、




藤岡 湊人 (ふじおか みなと)』



「はい」




彼は黄色い声のあがる中、ステージに上がり
挨拶をはじめた。



「桜が舞うこの四月の良き日に、
私たち、150名が入学できますことはー…」



彼がマイクで暗記した文章をさらさらと間違いなく
読んでいく。


堂々としたその姿に
さらに一年生のなかからも「かっこいいー!」
と声があがった。




「ちょっと、美月ー。あのひとイケメンすぎるよ!」



あかりもテンションが上がったのか
いっしょにかっこいー!といって、囃し立てている。



「しかも、新入生代表挨拶って入試の首席が代表に
なるわけでしょ?

頭もいいとかやばいじゃん!」



「そ、そうだね。」


私は頷く。







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