
不良に良好
第9章 9
風もなく、時間が止まったみたいな廊下を
靴下のまま歩いていると
「あの、夕夜くん、ごめん…」
「ハ?」
何いってんだこいつ
俺は本当に訳がわからない様子で、セリフの続きを聞き入れた
「おれが、その…相川くんに声をかけられたから、夕夜くんに…」
「アホなの?おまえ…」
「えっ」
どうやら本気だったようで
俯いていた陽太はカバンを落っことして俺を見た。
落ちた陽太のカバンを拾ってやりながら、次の言葉を考える。
「どう考えたらお前のせいになんの。バーカ」
なぜかこいつは、なんでもかんでも自分のせいにするらしい。
俺は陽太に何も言わせないように、下駄箱まで、少し本気を出して走った。
