テキストサイズ

ネムリヒメ.

第13章 シャンパン☆ストロベリー.






「なん…で…」

「あんな変な顔して、わかんないとでも思ったの!?」

「ぁ………」


信じられない…
もしかして、ホントに全部バレバレ!?


「現実逃避希望って顔に書いてあったよ!? 違う?」

「っ…!!」


どうしよう…心臓が爆発しそう

静かな海風に揺れるアタシの髪をそっと梳く彼の指にまるで心も撫でられているようで、余計な力が抜けてコクリと素直に頷く


「せっかくなんだから甘えちゃいなさいな…」


「…!!」


恐らく世の女性が放って置かないであろう、こんなにもカッコイイ彼が向ける言葉も笑顔も気遣いも

今は紛れもなくアタシだけに向けられているわけで…


これが現実…

これがアタシの現実…


「っ葵くん、ありがとう」


さっきまでリビングでごちゃごちゃ考えていた自分がなんだかバカみたいに思えてきて、鼻の辺りがツンと酸っぱくなる


「ねっ、笑って?」


「………!!」


そして、彼の極めつけのひとことが笑うどころかアタシの涙腺を崩壊させようとする


「っ……」

「もぅ、そんな顔しないの…」


顔を覗きこんであやすように髪を撫でると、溢れそうになる涙を塞き止めるように触れる彼の唇


その一発で、アタシさっきまでのモヤモヤは大きな音をたてる心臓と一緒に見事に葵くんにぶち壊されたのでした



ストーリーメニュー

TOPTOPへ