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ネムリヒメ.

第21章 あの夜の王子様.





「は………」

「ハート、いっぱいだね…」

「キモッ…、葵のヤツ相当飲みやがったな…」


渚くんの手元に残る若干崩れた文字のそんな書き置き

…あ、違うか

葵くんからのラブレター♡


「つーか…留守番ってなんだよ、アイツらの私物しか残ってないだろが」

「うーん……」


キョロキョロと部屋のなかを見渡してみる


あれ……!?


そこで気になるモノがアタシの目に映った

飲みかけのアルコール類とグラスが散乱しているテーブル席のソファー

その背もたれに投げ置かれたネイビーブルーのジャケットが目に留まる


これって…

雅くん…

ジャケット、置いていっちゃったのかな

でもカジノにはドレスコードがあるんじゃ……


首を傾げながらソファーへと歩み寄る


と……


「…ひゃっ!!?」


目に飛び込んできたものに短い悲鳴があがった


「……!?」


ビクリと口元を押さえ一瞬硬直したアタシの様子に、渚くんもソファーを覗きこむ


「っ………なにコイツ」

「留守番…っ…て」


アタシたちの目の前に飛び込んできたもの

それはソファーに横たわる美しい肢体だった

空調で暑かったせいなのか、身につけている真っ白なシンプルなシャツのボタンはすべて開けられ、綺麗な肌が露になっている

金メッシュの隙間から覗く瞼は閉じられており、規則正しい呼吸に引き締まった胸板が静かに上下している


「眠ってる…の…!?」

「おい、雅…」


渚くんがその人物の名前を呼ぶ




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