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ネムリヒメ.

第21章 あの夜の王子様.






しかし、静かな寝息をたてている雅くんからは何の反応もない…


「チッ…アイツら…潰しやがったな」


渚くんはそう言うと、雅くんが飲んでいたと思われるグラスを手に取り、鼻へと近づけ残っていた中身を確かめる


が、


「酒…じゃねぇな…」

「え…!?」


渚くんがすぐに眉を寄せた


「雅のヤツ…飲めないっつーかなんつーか…」

「あ…そうなんだ」


雅くん、なんか意外だけど…

そう言えばプールでも、部屋にいるときも、飲んでたのはひとりだけジュースだった気がする


「じゃあ、ただ眠ってる…だけ!?」

「…なんじゃねぇの」


すると、


「「あ………!!」」


渚くんとアタシの声がハモって、互いの視線が一点に集まった

それは雅くんの手に不自然に握らされている紙切れ


手に取ってなかを開けば、今度は綺麗な文字が並んでいた



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  ─ちーちゃんへ♡


 眠れる王子様を起こしてあげてね


             ─聖

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「…だってさ」

「えっと…」


テーブルに置かれた空いたショットグラスの数からは想像もできない、聖くんらしい繊細そうな美しい文字の羅列


「…じゃ、そういうことだから」

「えっ!?」


何気に感心していると隣からそんな声がかけられる


「戻るまで起こしといて、それ…」

「ア…アタシが!?」


思わぬ指令に、立ち上がり顎でソファーの雅くんを指す渚くんを引き留める



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