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ネムリヒメ.

第21章 あの夜の王子様.





まずは見つけやすい葵からだな…


一般のカジノのフロアに降りた渚は、時折訪れているゲストに声をかけられながら、ご丁寧に自分宛にラブレターを残していった人物を探していた


ブラックスーツに派手なアスコットタイ…

金髪の7:3無造作オールバックの芸能人張りに派手なオトコ

年中、眩しいモテオーラ出しまくりのヤツの周りには、本人の意思に関係なく女性の人だかりができているはず…

そんな分かり易すぎる捜索対象をみつけるべくフロア全体をざっと見渡す


…と、


「わかりやすっ…」


案の定、目に飛び込んでくる、とあるテーブルに集まる人だかり

渚はキャーキャーとひしめき合う黄色い声を掻き分け、ルーレットに羽振りよく賭けるオトコの肩を叩く


が…


「ナンパお断りぃ」

「…おい!」


振り返りもせず、ヒラヒラと片手であしらう素振りを見せた葵の手を渚が掴まえた


「っ…!? って、ナギ♡ 来てくれたの、会いたかった♡」

「……じゃねぇよ」


渚の姿を確認した葵の周りにパッと花が咲く


「見た見た!?オレのラブレター♡」

「…つーか、なんなの!?この怪現象…」

「え、オレのラブレ…」

「お前を取り囲むギャラリー、いつもより多くねぇ!?」

「ラブレター!!」

「…るせぇよ!!」


会話が噛み合わないまま、並んだふたりの美男子に更に沸き上がるギャラリー


「冷たい、ナギ…だから勝てないんだ…」

「オレのせいにすんなよ」


どうやらルーレットの賭けを外したらしく、がっくりと葵の肩が落ちる




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