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ネムリヒメ.

第21章 あの夜の王子様.





しかし、渚の目の前にいるプレイヤー…

なかなか筋がいいらしく、渚が見る限りこの手札からいくと、このプレイヤーの手役はジャックのフルハウスらしい

これに勝つとなれば、場のカードからフルハウス対決は絶望的だし、フォーカードは不可能…

となれば、必然的に聖の手役はストレートフラッシュ以上でなければならないわけで…


そして更には、勝ちを確信したのかフルハウスのプレイヤー(以降、フルハウスマンと呼ぼう…)が聖をチラリと見てから賭け金を更に吊り上げる


─さすがに聖のヤツ、そう簡単にストレートフラッシュなんて無理だろ…

フッ…今日こそは負け知らずなアイツの泣き顔が拝めそうだな…


そんな想いで聖に目を向けると、その視線に気がついた聖がにっこりと笑って渚を手招いた


「…渚くんってば、そんなにオレの泣き顔見たいの」


あっけらかんと笑ってみせる聖にさすがの渚も苦笑う


「お前、この場…勝つつもりなの!? あっちの客、お前に勝つつもりでオールイン(手持ちのチップを全賭け)してるけど…」


気がつけば途中でフォールドしたプレイヤーを除いて、ショウダウンを待つプレイヤーは聖とフルハウスマンのみ

勝った方が、集まった賭け金を総取りとなるわけで…


「あはっ、オレが負けたトコみたことないでしょ♪」

「言ってろよ…」


相変わらずの調子の聖の頭にポンポンと渚が手を添える


「フン…慰めてやるから終わったら戻ってこい」

「…冗談」





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