無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

挑発しあうようにバチバチと視線を絡ませたところで、ディーラーからショウダウンの声がかかる


─残念だな、聖…世の中そんな甘くねぇよ…


鼻で笑いながら聖に背を向ける渚

しかし、つぎの瞬間ざわめきだつテーブル


「………は!?」


振り返る渚も足を止める

そして、沸き上がるギャラリーの拍手と共に聞こえてきたのは


「あっははー♪やりぃっ!!」

「のぉぉぉお─────!!!!!」


聖の笑い声が添えられたフロア中に響き渡く叫び声


「マジかよ…ヤりやがった」


さすがの渚も目を疑うそれは、紛れもなく奇跡の勝負師･聖の繰り出したまさに奇跡…

その確率、僅か0.0031％

ポーカーにおいて最も強力な手役…

聖が鮮やかに決めてみせたロイヤルストレートフラッシュを前にフルハウスマンの悲痛な叫びがこだまする

どっと沸き上がったテーブルで、若造に運悪く全部持っていかれ落胆するオトコをよそに、ヘラりと笑う聖から飛んでくるウインク

止むことのない称賛を受けながら聖は手早にチップの精算を済ませると渚のもとに駆け寄った


「あはっ、さっすがオレ♪ね、誉めて」

「お前、マジ……!?」


無邪気に笑いかける聖の髪を渚がため息混じりにくしゃくしゃにする


「なぁ、そんだけ勝ったんだから勘弁してやれよ。葵のヤツ、泣きそうな顔してたぞ」

「ぇえー!? それとこれとは別でしょー♪葵くんは葵くんで頑張って貰わないと♪」