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ネムリヒメ.

第21章 あの夜の王子様.






「はぁ…相変わらず容赦ねぇな、せめてその運だけでも分けてやれよ」

「…もう、しょうがないなぁ…今日だけだよ」


フロアを後にしようとしていたふたりは上機嫌の聖の気まぐれで、まだ粘っていると思われる葵のところへと踵を返す


「っていうか、ちーちゃんに見せたかったなぁ…オレの勇姿」

「フンッ…残念だな」

「で、ちーちゃんは!?葵くんのとこ?」


思い出したように聖がキョロキョロとする


「いや、うえに置いてきた…っつーか、なんで雅が潰れてんだよ」

「そっかぁ…」

「飲ませたわけじゃねぇんだ……」

「…………」

「っ…!?」


そこまで言いかけた渚は、隣で意味ありげな表情で言葉を止めたままの聖に首を傾げる


「聖……!?」

「ああ、もちろん飲ませたりなんてしないよ。本当に潰れたら意味ないし…」

「は……」


それだけでは状況がよく理解できない渚は、更なる説明を聖に求める


「オレが雅を眠らせたんだよね♪ちーちゃんが起こさないと目覚めないように…」

「は…意味わかんねぇな、なんの為にだよ」


それでも話が見えず、少しイラつき始めた渚に聖は足を止めて渚を見据える


「そりゃもちろん、戻って貰わないと……」

「は……戻るって…」

「え、決まってるでしょ」


クスリと喉を鳴らす聖に一瞬、一抹の不安を過らせる渚



「眠れる王子様…あの日の雅にねっ♪」


「……………!!」





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