テキストサイズ

ネムリヒメ.

第25章 Black Emperor.





自分がここに連れてこられたのもそう…

葵が不甲斐なく最も最悪の状態で身動きを封じられているのもそう…

全部読まれてる

ここまでしてあのオトコが手に入れようとするのはただひとつ


─してやられた…


それは疑いが確信に変わった瞬間でもあった


「…ちーちゃん」


だったらこんなところで途方に暮れている場合じゃない

このままじゃ渚くんも…

それに、ちーちゃんが!!


「やっ…ちょっと、聖ぃ」

「聖もこっちきてよ」

「まだ葵くんと遊んでて!!」


懐に手を突っ込むより手っ取り早く、取り上げられていた葵の携帯電話をオンナの手から抜きとり取り

"オレのナギ♡"

若干、性癖を疑いそうになる文字の羅列を見つけると急いで怒声を響かせていた相手にコールバックする


葵くんのせいで渚くんが出てくれなかったらこの携帯電話ごとあとで葵くんも東京湾に沈めよう…

乱れる呼吸と気持ちをなんとか落ち着かせたくて無理矢理しょうもないことを考えた


葵くんに怒鳴ってたってことは、渚くんはまだ動けてるはず…

ここは完璧に渚くんのテリトリー故に、彼の動きを縛る要素なんて腐るほどある

誰かに声を掛けられれば…

電話なんて一本鳴らされたら…

どれにしろあり得すぎる


…長いコールだった

やっぱり自分の携帯電話からかけ直そうしたところでようやく


『……んだよ、生きてんのか葵』


繋がった!!




ストーリーメニュー

TOPTOPへ