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ネムリヒメ.

第26章 夜明け.








"姫…"






「………」





あ…


誰かにそう呼ばれたような気がして目が覚めた


高い天井の白がぼんやりとした視界を次第にクリアにしていく


なんでこんなに温かいんだろう…

アタシはどうして眠っていたんだっけ…



って──────…



「…おわぁぁぁ!!!」


誰、これ…!!

どこのどなた様!?

アタシってば、またどっかに記憶を置き去りにしてきてちゃったの!!?


「──────!!」




驚きはいつも突然やってくる

…目の前に見覚えのない天使がいた。



どこから降ってきたのか、どこの彫刻から抜け出してきたのか

もしくはアタシがそっちの世界に逝ってしまったのか、隣に横たわる天使が見える

性別は間違いなく異性

クッションに散らばった明るいメッシュの入ったライトブラウンの髪が、日に透けキラキラしていてとても綺麗だ

整った目鼻立ちの美青年よ

大人っぽさとあどけなさが混じるその寝顔を他のなにに例えようか


そんな天使がなぜここに…!?

っていうか、そもそもアタシは今どこに?



「…う、るさいなぁ」

「…!!」


そんななか、驚きのあまりにあがった悲鳴に鬱陶しそうに目を擦る美青年

身を捩り、伸びた手がなにかを探すように宙を彷徨う





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