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「ん、姫ぇ…」


え…

今、"姫"って言っ…っ、ッ…!!

その手はもしや、アタシを捕まえようとしてるの!?

ど、ど、ど、どうしよう!!!


なんてアタシの寝起きはいつも平和じゃないんだろう…

知らない美青年とベッドを分け合うとか、そんなの絶対誰かしら黙ってないはずなのに、今日に限ってはどうなってるんだろう

もしかして物事の根本的な問題はそこじゃないのかな…


─ここはどこ、アタシは誰。


記憶を辿りたくても、頭が動かない

そこに思わぬ寝起きドッキリが拍車をかけてなおのこと頭が回らなくなる

それでも現在進行形でアタシは確実に、寝ぼけ眼で迫り来る美青年にじわじわとベッドの端へと追い詰められていくわけで…


「へ…!!」


突然、何かにぶつかるアタシの背中


そして、


─ドスンッ…!!


って…え、ウソ…


この鈍い音と衝撃

そしてこの急に背中がすかすかになる感覚ってまさか!!


…落ちたのはアタシではなかった

その代わりに、ベッドの下から苦しそうな呻き声が聞こえてくる


「ッ…てぇな」

「……!!」


慌てて下を覗き込めば


「み、雅くん!?」


打ち所が悪かったのが、脇腹を抑えて踞る雅くんがいる


「ゴメンなさい、アタシっ!!」


よくわからないけれど自分がなにをしたのかくらいは、寝起きの頭だろうがそうでなかろうが考えなくてもわかる