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お嬢様♡レッスン

第5章 オフの執事達Ⅰ

「お疲れ~!!」

そう言って男達がグラスを合わせる。

メンバーは黒崎・速水・白河・柳瀬・杜若の5人。

彼等はこの東乃宮邸で育った幼馴染みである。

彼等の両親もこの邸で働いている。

言わば“代々組”である。

「ぷは~!!仕事の後のこの一杯は美味いよな!!」

そう言って豪快に笑ったのは黒崎だった。

「真琴?執事としてそれでは余りにも品が無さ過ぎるんじゃない?」

そう言って黒崎を嗜めるのは速水。

彼等は同い年の25歳。

「もう仕事は終わったんだから、いいんじゃない?」

柳瀬が助け船を出す。

「広夢はいいよ。何時もちゃんと上品に振る舞えるんだから。俺が心配してるのは、マコのガサツさがお嬢様に伝染するんじゃないかって事!」

速水が持っているツマミを黒崎にビシッと向ける。

「そこはマコ兄だって気を付けるだろ?」

ツマミを物色しながら白河も助け船を出すと速水がイジケ出す。

「いいよ…誰も俺の気持ちなんて分かってくれないのさ…」

「まぁまぁ、リュウ兄。ほら、飲んで飲んで」

そう言いながらグラスにビールを注ぎ足す白河。

「それにしても、綾芽お嬢様、可愛かったよなぁ…」

「マコは女の子の表現って『可愛い』しか知らないの?」

「なんだよ?リュウは何て表現するワケ?」

「愁いを帯びた、守ってあげたくなる女の子」

「あー…やっぱ元気なかったよなぁ…御両親の事があるもんなぁ…」

「ちょっ!マコ!!」

「何?」

「あ…」

そこで皆ははたと気付く。

一人だけ会話に参加していない人物の存在に。

窓際で物思いに耽りながら煙草を燻らしていた杜若は皆の視線を感じて我に返る。

会話は何となくは聞こえていた。

「そんな気にする事ないっすよ?」

正直言って、自分自身は気にはなっているのだが、幼馴染み達に気を遣わせる程の事ではない。

「俺達相手に遠慮すんなよ。お前は何時もそうだ。1人で抱え込みやがって…」

「え、マコ兄、もう出来上がってんすか?」

「まだ、酔っちゃいねーよ!!」

「それよりさ、高月さんどう思う?」

話題を変えようと速水が上司の名を持ち出す。

「どうって?」

「高月さんってこの白鳥館の長な訳でしょ?かなり多忙な筈だけど明日もお嬢様に付くって言ってたじゃない?」

「それが?」

「あれってお嬢様を狙ってんじゃないかと…」

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