
弱く儚く。
第1章 俺の大事なもの。
カチカチッとキーボードを叩く音だけが、部屋を包む。
最後に再生ボタンを押して、自分の耳に流れてくるメロディーを確認する。
「くっそ‥。」
自分の思ったようなメロディーを作れない。
完璧にスランプ状態だ。
こうなったら、もうお手上げ。
最初に作ったあの曲は、スラスラとフレーズが思い浮かんだのに。
ここにこうしててもしょうがないな‥。
コーラでも飲みに下に降りよう。
「はぁ。よいしょっと‥。」
重い腰を持ち上げなんとか階段を降りる。
冷蔵庫を漁っていると、後ろから声をかけられた。
「おい。」
「ん?」
親父だ。
「毎日毎日、部屋でなにやってるんだ?」
うるせぇな。
俺は、親父の言葉に対してなにも返さなかった。
「現実を見ろ。お前を気にかける奴なんて、もういないぞ。」
そんなことよりも大事なもんがあるんだよ。俺には。
「何も、しらねぇくせに口出しすんじゃねぇ。」
「宇汰っ!」
冷蔵庫の扉を思いっきり閉めて、親父を睨みつける。
「関わるな。」
リビングの扉を開けて部屋から出た。
親父とこれ以上同じ空間に居たら吐く。
気分が悪くなる。
玄関に行き靴を履くと、リードを片手に持ちドアを開ける。
そう気分転換だ。
俺は気分転換に来たのだ。なんで、あんなに不快な気持ちにならなきゃいけないんだよ。
家の裏庭にある犬小屋まで、行くと小さく囁く。
「ビビ」
ちょこちょこと出て来たのは愛犬のビビ。
メスのマルチーズだ。
手に持っていたリードを首につけてやり軽く引っ張ると、ビビは尻尾を振って喜んだ。
うっ‥癒される。
あの時の、あのモヤモヤが全部吹っ飛んでく。
ビビのおかげだよ。俺がやって行けてるのは全部。
俺の大事なものは、音楽とビビ。
作曲家になりたいんだ。
全部独学だったけど、俺の作った曲は、動画サイトで人気になって殿堂入りしている。
俺は作れるんだよ。音楽を。
「行くぞ」
いつもの通りを軽く散歩する。
「なぁ。ビビ。俺って悪い奴かな?」
親孝行なんて、俺には出来ねぇよ。
当たり前だが、ビビは俺を見つめて首をかしげるだけだった。
最後に再生ボタンを押して、自分の耳に流れてくるメロディーを確認する。
「くっそ‥。」
自分の思ったようなメロディーを作れない。
完璧にスランプ状態だ。
こうなったら、もうお手上げ。
最初に作ったあの曲は、スラスラとフレーズが思い浮かんだのに。
ここにこうしててもしょうがないな‥。
コーラでも飲みに下に降りよう。
「はぁ。よいしょっと‥。」
重い腰を持ち上げなんとか階段を降りる。
冷蔵庫を漁っていると、後ろから声をかけられた。
「おい。」
「ん?」
親父だ。
「毎日毎日、部屋でなにやってるんだ?」
うるせぇな。
俺は、親父の言葉に対してなにも返さなかった。
「現実を見ろ。お前を気にかける奴なんて、もういないぞ。」
そんなことよりも大事なもんがあるんだよ。俺には。
「何も、しらねぇくせに口出しすんじゃねぇ。」
「宇汰っ!」
冷蔵庫の扉を思いっきり閉めて、親父を睨みつける。
「関わるな。」
リビングの扉を開けて部屋から出た。
親父とこれ以上同じ空間に居たら吐く。
気分が悪くなる。
玄関に行き靴を履くと、リードを片手に持ちドアを開ける。
そう気分転換だ。
俺は気分転換に来たのだ。なんで、あんなに不快な気持ちにならなきゃいけないんだよ。
家の裏庭にある犬小屋まで、行くと小さく囁く。
「ビビ」
ちょこちょこと出て来たのは愛犬のビビ。
メスのマルチーズだ。
手に持っていたリードを首につけてやり軽く引っ張ると、ビビは尻尾を振って喜んだ。
うっ‥癒される。
あの時の、あのモヤモヤが全部吹っ飛んでく。
ビビのおかげだよ。俺がやって行けてるのは全部。
俺の大事なものは、音楽とビビ。
作曲家になりたいんだ。
全部独学だったけど、俺の作った曲は、動画サイトで人気になって殿堂入りしている。
俺は作れるんだよ。音楽を。
「行くぞ」
いつもの通りを軽く散歩する。
「なぁ。ビビ。俺って悪い奴かな?」
親孝行なんて、俺には出来ねぇよ。
当たり前だが、ビビは俺を見つめて首をかしげるだけだった。
