
弱く儚く。
第1章 俺の大事なもの。
少し吹っ切れて家に帰ってきた。
いつものように、ビビに餌をやっていると
背中に温かなものが触れた。
「っ!?」
思わず体をビクつかせてしまった。
後ろを振り返ると、ばぁちゃんが立っていた。
いつからここに居たのだろうか。
「宇汰‥?頑張ってるかい?」
少し寂しそうに笑ったばぁちゃんを見て、キリキリと胸が軋む。
「ばぁちゃん‥。ごめん。わかってるよ‥。」
たまらなくなって俯く。
ばぁちゃんは、優しく俺の頭を撫でた。
「宇汰の好きなようにやって欲しいんだよ。」
その言葉に少し驚いたけど、ばぁちゃんはこういう人だ。
俺が小さい時から、ずっと。
俺のしたいことをさせてくれた。
それで、失敗しても成功しても、ちゃんと頭を撫でてくれた。
懐かしいな。
「ありがと。」
俺は少し照れ臭かったが、はにかんだ。
すると、ばぁちゃんも満足そうに微笑んで部屋に戻っていった。
「言わなきゃだな。」
ぐっ‥と手に力を入れた。
その手をビビがな舐めてくる。
励ましてくれてるつもりなのだろうか。
ビビの頭をくしゃくしゃと撫でてやると、その場を立った。
