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第4章 頭の中の甘い思い出

「お土産にチョコレートを貰ったんだ。七海ちゃん、甘いの好き?家で食べない?」

仕事の休憩中に携帯を確認したらこんなラインが入っていた。

すぐに返事はしちゃだめってよく聞くけど、
家に誘ってくる人にすぐに返事をしちゃ
いけない気ががして、私はニヤニヤしながら
携帯を鞄にしまった。

何回か食事には行ってるけど、
今日の誘いは、遂に、といって感じだし…
なんだか付き合ってないのにそんな家に
行ってもいいのかなぁなんて色々な事を
考えてたらあっという間に1時間の
休憩時間が終わってしまった。

仕事に戻ってもチョコレートの誘い文句が
頭から離れない。

中野さんは私を高揚させる特効薬を
たくさん持っている。

仕事を遅番の子に引き継いで
帰りの支度をした。リップグロスを
丁寧に塗り直して外に出たら、
見覚えのある車が止まっていた。

まさかね。あの車は持っている人
沢山いるし。

と思いながらも車の横を
通りすぎる時に中をついつい
見てしまった。

その瞬間、車の扉が開いて、
中野さんが出てきた。

「七海ちゃん!」

私は一瞬にして固まってしまった。
例えるなら、蛇ににらまれたカエル?

「やっぱり!今日は近くで打ち合わせだったから、もしかしたら、会えるかな?と思って。」

「お仕事終わるの早かったんですね」

「ライン送ったんだけど見てない?迎えにいくよって」

この人は強引だ。

「すみません。仕事終わってからは見てなくて…でもチョコのお誘いはみましたよ」

中野さんは私を車に乗るようにと
扉を開けてくれた。

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