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硝子のルージュ

第2章 #2 忍びよる影

(あいつ、しつこい)

はぁっとため息をついてから戻った。


「柏森さん、顔色悪いけど…」


「あ…いや、ちょっと…」


他の駅員に聞かれて我に帰ると何でもない素振りをしてみせた。


人目につかないところでため息をついていた。


(なんであいつが……今更……)


そこに鳴海が通りかかった。


「柏森さん…?」


怪訝そうな顔をして覗きこむ鳴海を千種はきつく抱きしめる。


あまりの出来事に鳴海は言葉が出ない。


(いったいどうしたんだろ)


目を細めながら鳴海はそんなことを考えていた。

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