
残飯ガール
第3章 もう少しだけ…
「肉系がない……」
「まぁな。昨日あんだけ豪華だったし、食費と手間もバカにならないだろ」
「……」
その言葉を聞いて、あたしは食べる手を止めた。
「なんだよ」
「…そこまでわかってるなら、どうして作るのをやめさせないの?」
「……」
「中途半端に受けとるから、彼女たちだって期待しちゃうんだよ」
あたしの言葉を聞いたあと、久我くんはハァッとため息をもらした。
あ、また怒らせちゃった…?
「……嫌がらせ受けたんだよ、あいつらに」
──え?
「ずっと断ってたって言ってただろ、その裏であいつらは綾に嫌がらせしてたんだ」
「えっ…なんで綾さんに!?」
「バンド仲間とはいえ、俺らとつるんでるのが気にくわないらしい…」
そんなの……逆恨みじゃん!!
「綾も何も言わねぇから、ずっと気づかなくてさ。でもある日、あいつらが自分たちの弁当と一緒に、綾の弁当も捨ててるの目撃して…」
「!」
なにそれ、ひどすぎる……!
「俺のせいで綾が嫌がらせ受けるなんて耐えられねぇよ…」
あたしは思い詰めた表情を浮かべる久我くんの顔をじっと見た。
もしかして、久我くん…
綾さんのこと……
あたしは目の前のお弁当たちを見た。
途端にお弁当がまずく思えてきた。
女の執念って怖い……。
「そりゃ食べる気も失せるよね…」
「悪かったな、そんなもんあんたに押し付けて」
「まぁ、この子(弁当)たちに罪はないし…」
残すことだけしたくないあたしは、全て口の中にかきこんだ。
